「サッカーのボランチってどういう意味や役割?」
「ミッドフィルダーやアンカー、センターハーフとは役割が違うの?」
「ボランチで有名な選手はだれがいるの?」
サッカーのポジションは役割や配置によって名前が変わってくるため、野球などポジションの呼び名が固定されているスポーツよりも複雑でややこしいですよね。
攻めのフォワード・真ん中付近のミッドフィルダー・守備のディフェンスと簡単に3つ種類を分けたうえで、さらに配置によって役割が細分化されます。
そこで今回は、ミッドフィルダーの中でもボランチという役割について、他の役割りとの違いや位置付けについて詳しく解説していきます。
それでは見ていきましょう!
サッカーのボランチとは?
ボランチとはもともとポルトガル語で「ハンドル」という意味を持ちます。
つまり真ん中でチームの舵を取る役割として、試合をコントロールしなければなりません。
常に真ん中付近で動いてボールをもらい、中央かサイドどちらにボールを出すかの選択により試合運びが変わりますし、守備でも危険なエリアにボールを運ばれる前に防ぐ必要があります。
昔からボランチは2人置いて攻守のバランスを取ることが多いですが、1人でボランチの役割りをこなすこともあります。ボランチが一人だとワンボランチ、ボランチが2人だとツーボランチと言います。
真ん中に位置するだけでも、なんとなく重要な選手が任されることが分かりますね!
ボランチに求められる役割やプレーについて
ボランチは攻守にわたって役割をたくさん求められますので、攻撃面、守備面でそれぞれまとめます。
- 中心となってパスを受け、攻撃を組み立てる
- ボールと選手が密集しているとき、逆サイドへパスして展開する
- GK、DFから後方でボールを受けて、自軍でパスの受け手となる
- ボールを奪った後、速攻を仕掛けるかゆっくりとキープやパスを回して試合を落ち着かせるか判断する
ボランチで大前提できないと務まらないのが、ボールを収めて状況に応じて適切な場所にボールを運ぶもしくはパスを出すことです。
真ん中に位置するため、サイドや後方、前線のポジションと比べどこよりもボールを受ける回数が多くなります。
ボールを受ける回数が多いと必然的に試合に与える影響は大きくなりますので、チームで一番重要なポジションと言っても過言ではありません。
パスの受け手として積極的に顔を出すことができなければ話になりませんが、そのために自分のスキルへの自信というマインド面も実は重要な要素と言えます。
- 自陣のバイタルエリア(ペナルティエリア周辺)付近で相手ボールを奪う、もしくはミドルシュートをブロックする
- 相手のセンターフォワードをめがけたパスをカットする
- 攻撃時にもカウンターを受けたことを想定してポジションを取り、相手の攻撃を未然に防ぐ
ボランチは攻撃面だけでなく、守備面でも高いクオリティを求められます。
センターフォワードは点を取ることだけを考えて攻めても問題ありませんが、ボランチが後先考えず上がりすぎると、真ん中にぽっかりと穴が開きカウンターを受け失点に直結してしまいます。
ワンボランチの時は自分も前線に上がって大丈夫か、後ろの枚数は足りているか考える必要がありますし、ダブルボランチの時はどちらが上がってどちらが下がるか連携をとる必要があります。
チームの舵取りのため、ポジショニングや配置のバランス調整を含めて役割はたくさんありますね!
ボランチとアンカー、ミッドフィルダーやセンターハーフの違いについて
ボランチの意味や役割については前項で解説しましたので、ボランチとアンカー、ミッドフィルダーやセンターハーフの違いについて紹介していきます。
結論から伝えると、ボランチとアンカーは役割を示しており、ミッドフィルダーやセンターハーフはポジションになります。
ミッドフィルダーという括りの中にセンターハーフやサイドハーフのポジションで分かれて、センターハーフに位置する人の役割がボランチかアンカーということになります。
- 大まかに言えば、ボランチとアンカーでの違いはない
- 厳密に言うと、ボランチは攻守バランスよく対応する必要があり、アンカーは守備を最優先してセンターハーフとセンターバックの間に位置する
ボランチはポルトガル語、アンカーは英語が起源で単純に呼び方が違うだけと言われることもあります。
しかし一般的な把握として、アンカーはボランチよりもセンターバックの間くらい低い位置に下がり、相手の攻撃を防ぐ役割としての認識となっています。
攻撃・中盤・守備の3ポジションで構成される中で、中盤全体を指すワード
ミッドフィルダー(MF)はサイドハーフやボランチ、オフェンシブミッドフィルダーなど中盤すべてのポジションを指す総称となっています。
そのため、ミッドフィルダーがポジション、ボランチが役割として覚えておけば問題ありません。
センターハーフはポジションを指して、ボランチは役割を指す
ここに関しては経験者でも意識せず使うことが多いのですが、厳密にはセンターハーフがポジション、ボランチとアンカーが役割を指す言葉となっています。
- ミッドフィルダー(MF)という中盤の総称がある
- センターハーフという真ん中に位置するポジションがある
- センターハーフでも役割が攻守のバランスをとるボランチなのか、守備的な役割を重視するアンカーなのか
上記の違いさえ理解できれば、今後のサッカー観戦でもスッと頭に入ってくると思います。
ボランチに必要な能力や性格・適正は?
- 試合の流れを読み、チーム全体を指揮する能力
- 攻守のバランスをとるポジション能力
- ボールキープ力と正確なキック力
- 守備時でのボール奪取能力
- 攻撃時で鋭いミドルシュートを打てるシュート力
- 激しい上下運動にもフルタイム耐えられるスタミナ力
ボランチにとって一番重要なのは、俯瞰して試合の流れを読んだうえでの判断能力になります。
攻守の切り替えを瞬時にして、今攻めるべきなのか、ボールを落ち着かせるべきなのか、サイドチェンジでコートを広く使うのかなど、ボランチの判断がチームの出来に直結します。
考える力はどのポジションでも必要ですが、一番多くのプレーに接する機会の多いボランチは特に重要です。
判断能力にプラスして、キープ力やキック力、守備能力などスキル的な要素も必要となります。
- 迅速な意思決定能力がある
- 周りのポジションも積極的に修正するためのコミュニケーションが取れる
- 味方の守備をカバーできる献身性
- 常に試合の状況を把握する冷静さ
ボランチには判断能力が一番重要と説明しましたが、いわゆる迅速な意思決定ができるかどうかが必要適正となります。
それに加え真ん中で味方と密にコミュニケーションを取れる明るい性格な必要もありますし、状況把握する冷静さや守備での献身性も必要になってきます。
- 明るくコミュニケーションが取れる
- 意思決定を多く行う分動じず、平然と振舞うことのできるどっしりした性格
- チームの舵取り、心臓としての責任感から動ける献身性
上記のこれらすべてがボランチにとって必要な性格・適正となるのです。
ボランチとしての有名な選手について
ボランチはチームにとって非常に重要な役割のため、必然的に名のある選手が多く存在しますので、過去と現在の選手で数名紹介します。
- アンドレア・ピルロ(元イタリア代表)
- スティーヴン・ジェラード(元イングランド代表)
- シャビ・エルナンデス(元スペイン代表)
- 長谷部誠(元日本代表)
- 稲本潤一(元日本代表)
アンドレア・ピルロはボールに多く関わり、効果的なパスなど中央で創造的なプレーを多くすることから、レジスタ(イタリア語で演出)と呼ばれていました。
スティーブン・ジェラードも試合構築はもちろん、中盤から強烈なミドルシュートで頻繁にゴールを決めていたことから、ジェラードのシュートはジェラード砲と名付けられていました。
2019年にリバプールとACミランのレジェンドたちによる特別エキシビジョンマッチが行われましたが、ピルロのボールさばきやジェラード砲は10年以上経っても色あせていませんでした。
- ヨシュア・キミッヒ(バイエルン・ミュンヘン、ドイツ代表)
- カゼミーロ(マンチェスター・ユナイテッド、ブラジル代表)
- ロドリ(マンチェスター・シティ、スペイン代表)
- 遠藤航(リバプール、日本代表)
この4選手に共通する部分は、広い視野と判断の良さから瞬時に危機察知ができることから、守備的ミッドフィルダーとしての能力に優れているということです。
それぞれドイツやイングランドの名門に所属していますが、やはり安定したボランチが出場している試合では、試合の流れをうまくコントロールできている印象です。
いつの時代でも、優れたボランチがいるかいないかで、チームのクオリティに大きく左右されるということが分かりますね。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、ボランチという役割について、他の役割りとの違いや位置付けについて解説してきました。
まとめると以下になります。
- ボランチはポジションではなく、役割の一つ
- アンカーはボランチよりもさらに守備的な役割として使われることが多い
- ボランチはチームの中でも最重要役割りの一つで、試合の流れを読む力(考える力)が必要
- チームにも指示を出せるコミュニケーション能力や、個の高いスキルも求められる
- ボランチの名選手を振り返っても、時代を象徴する優れた選手が多い
サッカーの試合では、ミッドフィルダーであるボランチの選手が試合を左右することが多いです。
ボランチに興味を持った方は、ぜひ試合観戦でも攻守で躍動する選手の動きを注目しながらサッカーをご覧になってみてください。
ご覧いただきありがとうございました!